手羽先で綴る

遊んだゲームのこととか、生活のことなどをだらっと書いています。

駄菓子といかついシール

近くに新しく駄菓子屋がオープンした。駄菓子屋のワクワク感はいつの時代でも同じなのだろうか。実家の近くにも小綺麗な駄菓子屋が出来ていたが、計算用の電卓があって、子供目線の配慮に感動した。

 

美味しいお菓子で溢れているこの時代に、わざわざ駄菓子を食べる必要はあるのか?という疑問があるかもしれない。個人的には、駄菓子屋で買うのは商品ではなく、自分の手で厳選したお菓子を予算内で買う満足感、大人の場合は好きなだけ買っても貯金にダメージがないという成金のような快感だと思う。そんなわけで、電卓片手にじっくり選んでる子供達に遠慮しつつ、好きな駄菓子をカゴに入れたのだった。フルーツ餅とどんぐりガムが好きなんだ···。

 

私が子供だった頃は、まだ昔ながらの駄菓子屋が残っていた。店の中はちょっと古くて、駄菓子のみならずスーパーや専門店になさそうな謎のおもちゃが所狭しと並んでいた。

 

ある年の夏休み、私は母と妹の3人で、田舎の祖父母の家に来ていた。母にとっては義実家なのだが、母は祖父に「そろそろ息子が心配だから帰りなさい」とやんわり言われるくらいのんびりと滞在していた。大した強心臓である。私にはできない。

私の母という人は、ある意味鈍感なところがある。京都の人なら、意図が通じなさすぎて発狂するかもしれない。ぶぶ漬け?いいんですか?じゃあいただきます!

 

それはともかく、田舎の暮らしはしばらくすると飽きてくる。そんな時母は、私達を駄菓子屋に連れていってくれた。子供のためというより、自分が買いたかったのだろうけど。私はハイチュウをカゴに入れて「バカッ、スーパーで買えるものを入れるんじゃない」と理不尽に怒られたりしていた。

 

そんな私をよそに、母は楽しそうに買い物を続け、最後にレジ前にあった「入れ墨シール」を買った。邪気眼かヤンキーに憧れた子供がユーザーと思っていたけど、こういう人が買うんだね!

そして帰宅するなり、肩の付け根あたりに貼って「ほらー」と娘2人に見せてきた。入れ墨もヤクザも知らない子供に見せびらかす母。赤い鯉か金魚の柄だったことをなぜか今でも覚えている。てか義実家でそんなことする?祖父母はどんな気持ちで長男の嫁を見ていたのだろう···と思うと色々複雑である。私なら、お金積まれてもやらないと思う。

そうして浮かれていた母であったが、ここで事件発生。ごめんください、の声と共にドア開く。施錠?そんなものないよ。繰り出されたのは「奥義・『田舎あるある、親戚のアポなし訪問!』」である。しかもちょっとうるさい親戚のおばさまだ。

 

チタンのような心臓を持つ母であったが、さすがに慌て始めた。「どうしよ、これ石鹸で落ちないわ!」駄菓子屋産とは思えない、根性のある入れ墨シールである。挨拶行かないのはまずいよね。さあどうするんだ!

 

その後覚えているのは、肩を不自然に手で隠した母が余所行きスマイルで親戚のおばさまに挨拶している後ろ姿だった。挨拶の後母がどうやってあの場を切り抜けたのか、謎である。